県とやっているプロモーションプロジェクトについて書いておきたい。「Craftsman’s Base Shimane」というライターやデザイナー、コーディネイター、そして僕のような映像ディレクターでできているフリーランスチームで、この夏終わりから動いている。

担当させてもらった第一弾映像は吉原木工所の吉原敬司さんで、こちらはすでに公開されている。今回ご紹介する第二弾は隠岐は海士町で暮らす大野佳祐さん・祥子さんだ。ありのままのご家族を撮らせていただき、編集を終え、本日YouTubeに公開された。

 

 

撮影に行ったのは10月末で2泊3日行程。佳祐さんに「3日間晴れるなんて珍しい」と言われたくらい天候が良かった。12月の山陰は重苦しい冬空だが(笑、今思うと天国のように晴れ渡っていた。

映像は見てのとおり、家族の暮らしをフィーチャーしている。映像企画のミーティングがあったときに祥子さんが言っていた「地域のまわりの人たちに支えられているから今の私たちの暮らしがある」という言葉を聞いた瞬間に「家族の暮らしを魅せる映像にする」と即、テーマを決めた。

佳祐さんは隠岐の島前高校の学校経営に関わっているし、島根の「教育魅力化」という大きなプロジェクトでも有名な方で、ググれば彼についての情報や活躍はたくさん目にすることができる。だから今回はその視点ではなく、オフの顔、ご家族のプライヴェートに少し踏み込んでみたかった。娘ちゃんと散歩したり、家族で団欒している、ごく普通で、当たり前の父親としての表情。佳祐さんを知る人こそ多いだろうけど、その顔を見る人はきっとそうはいまいと思ってニヤニヤしながら撮り続けた。曰く「そういう目線の取材は受けたことがない」そうだ。

祥子さんのコメントは率直で飾ることなく、ストレートに伝わってくる。幸せをつかんでいく人の表情が明るいのは「幸せだから明るい」のではなく、「普段から明るいから幸せになっていく」のだとつくづく思う。今回はインタビューも担当させてもらったけど、「人がどう思うかとか、他人のことを気にしなくなって、自分の人生を描くことができはじめたら一気に幸せになっていくよね」みたいな話になってお互い共感した瞬間があった。自分の人生を生きようと思っている人はそれだけで生き生きするのだ。…ということが伝わる映像にすべく編集したつもりだ。

佳祐さんがやっている家族菜園(家庭菜園)を撮ったときにいただいた小松菜は蔵庭の玄米プレートで使わせていただき、暑苦しい文章とともにここに書き記した。(蔵庭日記:『海士町でいただいた幸せな小松菜』)こんな文章をわざわざ書くということは僕が海士町で幸せを感じたからだ。いい波動、幸せな気持ちは伝播していく。

 

このプロジェクトチームについて少し。

新しいプロジェクト、新しいチームは毎度わくわくする。今回はどんな人と、どんなことができるのだろうかという意味において。

僕は僕でやるべきことを精一杯やろう、がんばろうと基本思っている。それでも最後まで気持ちよく走り抜け切ること、そして最後にそれなりのプロジェクトの結果(成果)が伴うことは当初のわくわくの気持ちとイコールであるとは限らない。「あれぇ?こんな感じだっけ?」と思うこともある。どんなことにでも必ず原因や理由は存在する。慣れてしまいたくないなと思っても、そっち側に持っていかれそうになることもある。

現段階で思っていることを素直に書けばこのCraftsman’s Base Shimaneというチームはすごくやっていて気持ちがいい。それぞれが自分の役割を自覚し、フリーランスという名のプロフェッショナルとして先々を想定して動いている。

noteというメディアを使って映像と並行してテキストでも伝えていこうと試みている。津和野にいる瀬下さんがとてもいい仕事をしてくれている。ロケの現場の雰囲気も僕なりに感じることができるし、こういうものがウェブにアーカイブされるのは個人的にも嬉しく思う。ぜひこちらも映像と合わせてチェックしてもらいたい。

 

「自立」と「共存」の島暮らし──大野佳祐さん・大野祥子さんに聞く、海士町で暮らし、つくる6年間

 

県の福間さんとチームキャプテンの西嶋さんのお二人が本当にうまい感じでチームを束ねてくれている。映像制作に100%集中できるように整えてくれるし、僕が考えていることを本当に汲み取ってくれて尊重してくれる。

こういう流れができてくると僕のモチベーションは内側に向いてくることがある。「まずはこのチームのみんなが喜んでくれるようなものを仕上げよう!」と思うのだ。チームの士気がそのまま作品にも反映されていく。こういう作用はきっとあるんだと思う。とにかくチームのリーダーの存在とその立居振る舞いでプロジェクトはよくも悪くもなることを改めて感じた。久しぶりにわくわくし続けることができるチームにいることができて光栄だ。僕の映像は第三弾まで予定されているのでこの続きはまたお伝えしたい。

 

祥子さんが言った一言が映像タイトルになった。「必死なんですけど、めっちゃ幸せです」