なんということだろう。蔵庭のすぐそばに、とても素敵で、絵本に出てきそうなやさしい雰囲気のある、素晴らしいレストランができた。レストランと言うのはやめよう。トラットリアだ。

4月にオープン。自粛暮らし真っ只中だったので気になりつつも妻と「もう少ししたら行こうね」と話していた。しばらくはテイクアウトをやっていたようだけど、最近はお店も開放していて、お客さんがたくさん来ている。たくさんといっても、もちろんコロナの雰囲気を見ながら完全予約制で丁寧に接客している。

コースは2つあって、選ぶ楽しさもあるし、ああもう絶対美味しいに決まっている、と僕は今月2回も行ってしまった。2回とも優雅に2時間かけておしゃべりと食を味わった。こんな時間がまさか蔵庭のすぐ近くというか松川町、というか江津の中山間地域にあるなんて、ちょっと信じられないくらいだ。

オーナーは市街地のほうにある森のレストランで夫婦で働いていて、松川でイタリアンをやるらしいという噂は数年前から出ていたそうだ。(僕は妻に聞いただけだったけど。)森のレストランはピザが食べられる場所として江津の中でも我が家にとってはちょっと貴重な存在だった。彼はいつも息子にやさしく接してくれて息子も森レスが大好きだった。こちらのオーナーご夫婦とはきちんとお話したことがないのだけど、近く「ゆっくり話しましょう」という時間が持てそうで楽しみだ。

お店とともに住居も併設されていてお子さんもたくさんいるし、「ここで地に足つけてがんばる」という意思が十分伝わってくる。シェフは奥さんで、そういう「地に足が着いたシェフの料理」というのはやっぱり落ち着きがあって、丁寧で、人柄が伝わってくるような素晴らしい料理だと感じられたことは嬉しいことだ。適正な価格で、メニューとともに届けたい先がわかる。気持ちのいい空間がさらに優雅なランチ時間を演出してくれる。

このブログにも何度か書いたことだけど、蔵庭をオープンするときに風のえんがわの多田さんが言ってくれた一言は僕はきっと忘れないと思う。

「近くにレストランができるなんて嬉しい。ライバル?そんなこと全く思ってないですよ。一軒だけじゃだめなんです。このエリアに何軒もいいお店があるからお客さんは行ってみようと思うはずなんです。みんなでこの一帯を食で賑やかにしましょう。」

こんな風に言ってくれて新参者の僕たちを受け入れてくれるなんて。江津が好きになった理由のひとつだった。それ以来僕も同じように思うことにしている。素晴らしい連鎖が起こりつつある。こんな小さな中山間地域で。

Trattoria kitutuki(Facebook)