In Diary

息子や甥っ子を雪山に連れて行ってやりたくて丸5年ぶりに湯沢まで行ってきた。八王子からだと圏央道が関越と接続されてめちゃくちゃ新潟が近い。

ハイエースは一度雪道でスタックした経験からレンタカーで4WDを借りた。オーストラリアにしてもフランスにしてもレンタカーが安い(というか世界基準だろう)ので日本が高く感じて仕方ない。2.5日間くらいで4万円近くする。オリンピックイヤーで来日する外国人たちはびっくりするんじゃないだろうか。

久しぶりの雪山は言うまでもなく気持ちよかった。僕は8歳でスキーをはじめているので島根移住以降は久しく行かなくなってしまったけど30年以上も雪山に通う経験をしている。「トンネルを抜けるとそこは白銀の世界」とは使い古されたバブルフレーズだけど、いくつになってもこの景色はエキサイトする。

毎回スノボとスキーを両刀持ちするほどゲレンデで過ごす時間が好きだ。小さい子供がいる時点で、自分の滑りを楽しむなんていう時間が持てないことは想定済みで、それはそれで自分の役割を感じたりもしている。まさに親にしてもらったことをそのまま引き継いでいる。

それはそうと白い世界で目に入ってくるのは立ち並ぶリゾートマンションだ。

湯沢は1985年に上越新幹線が開通し、関越自動車道も全線開通、年間1,000万人を集める大観光地になった。スキーバブル時代の到来だ。僕がはじめたのもまさにこの時代。その後、リゾートマンションは90年代初期まで建てられ続いていく。当時のあの派手なスキーウェアに象徴されるご機嫌な時代だ。なんと全国のリゾートマンションの20%近くがこの湯沢一帯にあったというのだからその勢いは凄まじい。

JRはスキーキャンペーンをし、広告会社はスキー映画と主題歌を流行らせた。巨大な流行産業をメディアと政治力と鉄道インフラが一体となって作り上げたのだ。ちなみに映画「私をスキーに連れてって」の舞台は長野県の志賀高原と言われている。映画を作って観た人がこぞってスキー場に行くんだから当時の広告会社の人たちは「時代はおれたちが作っている」と思ったはずだ。おもしろいもので当時のトレンディドラマは広告代理店が舞台になっているものも少なくない。まさに今以上にメディアがこの国を支配していた時代だ。

その後、スキーブームは去り、供給過剰の結果、マンションの価格は暴落した。サブプライム同様、目先のお金が世の中を狂わしていく。なんて浅はかな時代なんだろう。勢いあって起こることは勢いよく沈む典型をここに見ることができる。

リゾートマンションの所有者がいることで町の財政は大きく変わる。固定資産税の収入だ。湯沢の町税収入の8割は固定資産税で額にして30億円弱。リゾートマンションはそのうち約9億円だ。どんなにスキー場やホテル産業が斜陽化して法人税が減ったとしても、建物などがある限り、固定資産税は集められる。なんとしてでもマンションを保持したいはずだ。地方都市でよく言われるハコモノ行政の本質はここにあるのではないかと僕は考えている。安定の砦だ。

ガーラなどはインバウンド戦略をとってスキー場への来客数を持ち直している。マンションはその安さから移住してくる人たちがいるのも事実だ。個人的には「安さ」で動く人たちの客層はいささか疑問ではあるけれど。たった数万円でマンションオーナーになれるとはいえ、もう少し事情を知った方がいい。

家族で毎年2月に雪山に行くことが定番化しそうである。過去四半世紀に渡ってかなりのゲレンデに行ったのでもう一度まわってみると、見えなかった地方都市が見えてくるのかも知れない。それも僕にとっての雪山の楽しみのひとつだ。

 

Recent Posts